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原発事故は想定外だったか② ―05年共産党吉井英勝衆院議員の質問―

 11.3.23
 続いて日本共産党吉井英勝衆院議員の国会質問主意書(抜粋)を紹介します。

原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書
      右の質問主意書を提出する。
       平成十七年十月三十一日
                    提出者  衆議院議員 吉 井 英 勝

衆議院議長 河野 洋平 殿
    原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書
 政府は、「原子力政策大綱」を決定して、プルトニウムを循環して使用する方式の原発推進政策を改めて決定した。このプルサーマル自体に多くの危険性があることとともに、これを燃焼させる軽水炉の老朽化と近づく巨大地震の発生やその時の巨大津波の発生が重なった時の危険性が問題になってくる。さらに、原発を積載する艦船が原子炉規制法にもとづく設置工事許可申請も承認もないまま東京湾に「設置」される問題など、国民の安全にとって看過しがたい問題が続出してきている。そこで、原発の安全性に関する問題について、次のとおり質問する。

(一)~(三) 略 

(四)原発の老朽化が進行する下で、巨大地震災害と重なった時、どのような事態が発生するかについて、予め検討することが原発の危険から国民の生命と安全を守る上で最も大事な課題である。  
 ①四国電力伊方原発のタービン架台には、アルカリ骨材反応によって、最高三二ミリの膨脹・亀裂が発生したことが四国電力の報告書でも明らかにされている。このタービン架台ないしは、同じ建設年度で同様の亀裂の入った架台を、多度津の起振台に乗せて、安全性を確認する実証試験は行ったか。
  また、M七クラスの地震動によっても、亀裂の進行がないか、タービンの軸と発電機の軸とのズレがどれくらいになるかなど、確認が必要と思うが、その計画はあるのか。実施したとすれば何時、どういう条件の下で行ったか。その結果、どういう実証データが得られたのか。
  ②長期の使用によって配管の各所で減肉がすすんだり、SG(蒸気発生器)細管、一次や二次冷却水系配管、制御棒駆動水圧系配管の所で、温度や圧力の繰返荷重などによる金属疲労が起こったり、化学反応による腐食などが進行しているものなど、原発の機器類の老朽化による問題が多数確認されている。こうした施設が、M=7、直下型の巨大地震に直面した時、一体どのような施設の被害が生じるか、予め調べる必要がある。
多度津の起振台を使って、上記の重要機器について、どれだけの規模の、どういう腐食等の条件をもっている試験体について、どういう実証試験を行ったか。
  ③運用開始後三十年経っている老朽原発の、巨大地震発生時の安全性の検証は、多度津の起振台を使って実証試験を行うことにより、これから解明されていかなければならない問題である。
  ところが、この多度津の施設は、「年間約十億円の維持費がもったいない」として、すでに今年になってから、運転を中止している。来年度には運転してきた原子力発電機構を廃止して、世界的にも最高水準をいく起振台も解体・撤去してしまう動きが強まっている。十月十九日の内閣委員会において、鈴木原子力安全委員会委員長代理は「実際の機器に近いものを試験してみるということは大事なことだと思う」と答弁した上で、国の方が財政上の理由で廃止しようとしていることについて、「与えられた資源の中で」努力することと、試験できないならコンピュータなどによる「解析等を駆使して、安全をいろいろな角度から確認する」ようにしたいと答えた。
 老朽化のすすむ原発の機器類を起振台に乗せて、実物で実証試験を行うことは、巨大地震に備える原発の安全対策にとって欠かせないことではないのか。原発の持っている危険から国民の安全を守ることは、政府の第一義的責務ではないのか。
  来年度以降も引き続き多度津の起振台を運用して、老朽原発の巨大地震対策に必要な実証試験を行う考えに立つべきと思うが、政府の見解を問う。
(五)巨大地震時に津波が発生すると、発電所内へ進入する遡行してくる高波とともに、逆に潮が引いて海面が下がることによって冷却水が異常を来す場合がある。そこで、総ての原発のそれぞれの冷却水の取水口の位置(標準水面から幾らか)と波が引いた時の海水面の高さが標準水面から幾ら下にきているかの関係を明らかにして、巨大津波の発生時にも機器の冷却がうまくいくのか、国内の総ての原発について示されたい。
(六) 略  
 右、質問する。
  ※太字は山元

by takeshi_yamagen | 2011-03-23 00:40 | 東日本大震災と原発  

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