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日本映画の最高傑作は?

 12.11.1
 私の中学・高校時代は角川映画など新しい動きがあったものの邦画は低迷、「ハリウッドにあらずんば映画にあらず」といった空気が映画界を覆う中、アラン・ドロンの顔と名前が一致しない(というよりも欧米の男優は皆同じ顔に見えた)くらい洋画にうとく、どちらかと言えば邦画好きだった私は少数派の悲哀を味わっていました。
 高校入学時そんな私の前に現れたのが同じく邦画派で現在脚本家として活躍している土屋保文君、当然なんとなく気が合ったのですが、彼は今いうところの「邦画オタク」、黒沢映画の脚本家の変遷など微に入り細にわたる彼の知識に私はまったくついていけませんでした。
 先月27日の母校50周年の際に会った時も話は必然的に邦画論に…。
 私「日本映画を三つあげろと言われれば黒沢明の「七人の侍」、山田洋二の「遥かなる山の呼び声」、それに山本薩夫の「日本泥棒物語」かな。「…呼び声」はラストがいかにも日本的で胸に迫るものがある」
 土屋君「僕は野村芳太郎「砂の器」、川島雄三「しとやかな獣」が一押し。「しとやかな獣」は悪人しか出てこない喜劇だがキャラクター作りが実に上手い。演出もさることながら新藤兼人の脚本がいい。脚本と言えば橋本忍の「首」、「白い巨塔」、「黒い画集―あるサラリーマンの証言―」、「影の車」がおすすめ」
 私「黒沢さんの「用心棒」はどう?」
 土「いや「用心棒」よりその後の「椿三十郎」の方がずっといい。あと「天国と地獄」かな」
 私「そうか。じゃ怪獣映画なら?僕は「サンダ対ガイラ」だな。ラストがもひとつやけど」
 土「「サンダ対ガイラ」は恐怖映画としても傑作だ」
 私「僕が一番怖かったのは「マタンゴ」、夜寝られへんかった」
 土「わかる、わかる」
 …てな具合に極めてマニアックな会話が延々と続いたのでありました。
 しかし、よく考えれば私はプロの脚本家の前で不遜にも散々うんちく垂れたわけで、まさに釈迦に説法。まぁ、これも同級生どうしだからこそ、許してやってください。

by takeshi_yamagen | 2012-11-01 17:37 | 銀 幕 日 記  

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