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元史建歴7  客 人 (ま れ び と)

 08.2.11
 映画「母べえ」に登場する、奈良から ”ふらっ”とやって来た佳代の叔父仙吉(笑福亭鶴瓶)、彼のようにどこからともなく突然やってきて、知らないうちにどこかに行ってしまう、まるで寅さんか風の又三郎のような人が、私の小さい頃にはまだそこかしこにいたように思う。
 それは、遠縁の親戚のおじさんであったり、まず子どもと仲良くなろうと考えた玩具メーカーのセールスマンであったり、ロバのパン屋の大将であったり、あるいは今でいうところのフリーターの兄ちゃんであったりした。
 親の立場からすると招かれざる人も多かったと思うが、これらの人たち、ほぼ例外なく子どもたちには人気があった。詳しく覚えていないが、彼らは未知の土地の話をしてくれたり、新しい遊びを教えてくれたりしたからだと思う。 
 翻って現在。マンションのオートロックの普及に象徴されるように、よそ者を排除する風潮は私の幼かった頃よりはるかに強まっている。子どもを狙った事件などが頻発する中、やむを得ないのかもしれないが、他所の空気を運んでくれる「客人」が生きにくい社会は、結局刺激がなくなり、空気がこもってしまいそうで、なんだか私には合わない。

by takeshi_yamagen | 2008-02-11 15:55 | 元 史 建 歴  

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