銀 幕 三 作 

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 特別な理由はないのですが、珍しくこの秋から冬にかけて仕事の合間を縫って3本の劇場映画を見ました。「シンゴジラ」、「君の名は。」、「この世界の片隅に」です。アニメ映画を二つ見たわけですが、アニメを劇場で見るのは息子のつきそいでいった「ドラえもん」を除くと1972年公開の「パンダコパンダ」以来です。
 各作品、若干の感想。
 <シンゴジラ>疑問…なぜこの時期につくったのか。推測…「こんなに俺たちはお人好しじゃないぜ」と官僚たちがにやついているだろうこと。確信…作中の二人の総理大臣と安倍首相を絶対重ねてはいけないこと。まぁ、見た人だれもが論評したくなるというのは分かりました。
 <君の名は。>いわゆる時空超越映画。美しくて面白かったけど、後半のテンポが早すぎてついて行くのがやっとって感じでした。
 <この世界の片隅に>
 おっとりした年若い女性すずさん。彼女の生活を戦争が飲み込んでいく過程を淡々と描いています。戦争を直接体験した世代、私たちの世代、さらに若い世代…、世代間で受け止めが違うだろうなというのが率直な感想。上映後泣いていたのは若い人が中心だったように思います。
 
 
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by takeshi_yamagen | 2016-12-19 15:32 | 銀 幕 日 記

 16.5.7
 少しばかり前、高校のプチ同窓会で映画談義になった時、小中も一緒だったマリコさんから「松本潤、上野樹里主演の『陽だまりの彼女』―、恋したらきっとするだろうな、言うだろうなと誰もが思う仕草や言葉がちりばめられててとっても素敵な気分にさせてもらえます。私がマツジュンの追っかけしてることを差し引いてもいい映画だと思うから、ヤマゲンも見てみて」と薦められました。
 このマリコさん一押しの映画「陽だまりの彼女」が昨日テレビ放送されました。
 中学時代の同級生だった浩介と真緒は10年の時を経て再会、恋に落ち結婚します。真緒の記憶喪失が織り込まれてはいるものの前半はまぁそれだけの話。しかし後半は彼女が浩介にも隠しているある秘密を軸にストーリーが展開、「ラスト、こうくるかぁ」と思わずうなってしまいました。転校生だった真緒はなぜ勉強できなかったか、駆け落ちまでして結婚を焦ったのか、魚のおいしい南の島へ旅したがったのか…、そんな疑問も一気に氷解しました(ついでに言うと、映画では触れられていませんでしたが、彼女の名前がなぜマオなのかも私は分かりました)。
 現実にはあり得ないファンタジー映画でしたが、見終わった後私はそれこそ暖かい春のうららかな陽だまりにいるようなほっこりした気分に浸っていました。
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by takeshi_yamagen | 2016-05-07 20:04 | 銀 幕 日 記

 13.4.20
 1948年の戦後の混乱期、福島県の山間部に暮らす林田義助は、副業の「ニセ歯医者」をする傍ら、本業の土蔵破りで糊口を凌いでいた。
 翌49年の夏の終わりの深夜、一仕事終えた義助とその相棒庫吉は「杉山」のほうからやってくる合計9人の訛のない長身の男とすれ違い、その直後大音響を耳にする。列車が転覆したのだ。
 数日後、義助と庫吉はお互いの目撃談を話しあい、犯人は不審な9人組だろうと確認する。しかし、その後会った犯人とされた3人の労働組合員たちはいずれも背が低く事件当日に出会った不審な男たちとは似ても似つかない。義助は杉山事件が冤罪事件だと確信する。その後義助は県議会議員選挙で選挙参謀を務めるなど地元の名士となっていく。
 一方義助が杉山事件の犯人を目撃していたことは弁護側、警察側双方が知るところとなり、弁護側からは「ぜひ被告の無実の罪を晴らすために法廷で証言してほしい」と求められ、警察側からは「証言すると当日の「泥棒稼業」が明らかになり、今の地位と名誉を失うぞ」と脅される。悩みに悩んだ末に義助の出した結論は…。
 松川事件を題材にしたこの映画で揺れ動く義助の心理描写を見事に演じ切ったのが先日亡くなった三国連太郎さん、弁護士役千葉真一、警部補役伊藤雄之助、検事役加藤武、妻役佐久間良子などの名優、怪優が脇を固め、全くみごとな社会派コメディーに仕上がっている。特にそのラストは圧巻!

 「釣りバカ日誌」のスーさんもいい、「赤い運命」の元殺人犯の百恵ちゃんの父親島崎役もよかった。しかし、私にとって三国連太郎と言えば「にっぽん泥棒物語」(1965年 山本薩夫監督)なのです。
 御冥福をお祈りします。
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by takeshi_yamagen | 2013-04-20 08:05 | 銀 幕 日 記

 13.3.25
 一昨日お知らせした映画「渡されたバトン さよなら原発」を見てきました。
 過疎のまち新潟県巻町に提示された原発計画。北東電力が示した目がくらむような土地買上げ代や賠償金を前に町民は戸惑い、賠償金つりあげのための「原発反対デモ」が起こるなど住民の心はすさんでいきます。町の料理屋「珊瑚屋」の主人五十嵐(赤塚真人)も最初は「町が活性化するなら」「国策だから」と賛成しますが、「私たちは先祖から代々バトンを受け継ぐ歴史の中継ランナーのようなもの。時代は少しずつ変わっていく。大気汚染や原発のような昔なかったようなものがバトンにくっついてくる。私たちは子どもたちにどんなバトンを渡せばよいのか」という原発に反対する娘たちの問いかけに次第に態度を変えていきます。
 やがて巻町の住民は「反対しているのはアカだ」といった古典的な反共宣伝、「もう原発は決まったことだから」という既成事実化、「おまえたちはいくらほしいんだ」という中傷など、さまざまな分断攻撃を乗り越え、原子力発電所の恐ろしさを学ぶ中で、原発反対の町長(宍戸開)を誕生させ、その後行われた住民投票で過半数が反対の意思を示したのです(投票率89%、反対61%)。
 まちの未来は住民が決める―、地方自治の原点を改めて教えてくれたこの作品、一人でも多くの人に見てもらいたいものです。

 そういえば池田市でも小学校廃校反対運動の初期には「誰に言われてやってるの?」「もう小学校なくなるの決まったことやで」といった声がちらほら聞かれました。
 池田の場合、市民はすぐに乗り越えたので、これらの策動がどこまで組織的なものであったかはよくわかりませんが、まぁ、住民の意に反することをしようとする者の考えることはいつでもどこでも同じだということですわな。
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by takeshi_yamagen | 2013-03-25 02:30 | 銀 幕 日 記

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 1969年の春過疎化の進む巻町(新潟県)の地価がなぜか値上がり…、間もなく地元紙が原発計画をスクープ、町は大揺れに…、しかし四半世紀の運動の末、住民投票を実施、原発建設を阻止しました。この実話の基づく映画「渡されたバトン さよなら原発」(脚本 ジェームス三木)がいよいよ明日池田で上映されます。お誘い合わせのうえお越しください。
 日時;3月24日(日) 10:30、1:30、3:30
 会場;池田市民文化会館 小ホール
 料金;大人1500円、シニア(60歳以上)1000円 
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by takeshi_yamagen | 2013-03-23 15:59 | 銀 幕 日 記

日本映画の最高傑作は?

 12.11.1
 私の中学・高校時代は角川映画など新しい動きがあったものの邦画は低迷、「ハリウッドにあらずんば映画にあらず」といった空気が映画界を覆う中、アラン・ドロンの顔と名前が一致しない(というよりも欧米の男優は皆同じ顔に見えた)くらい洋画にうとく、どちらかと言えば邦画好きだった私は少数派の悲哀を味わっていました。
 高校入学時そんな私の前に現れたのが同じく邦画派で現在脚本家として活躍している土屋保文君、当然なんとなく気が合ったのですが、彼は今いうところの「邦画オタク」、黒沢映画の脚本家の変遷など微に入り細にわたる彼の知識に私はまったくついていけませんでした。
 先月27日の母校50周年の際に会った時も話は必然的に邦画論に…。
 私「日本映画を三つあげろと言われれば黒沢明の「七人の侍」、山田洋二の「遥かなる山の呼び声」、それに山本薩夫の「日本泥棒物語」かな。「…呼び声」はラストがいかにも日本的で胸に迫るものがある」
 土屋君「僕は野村芳太郎「砂の器」、川島雄三「しとやかな獣」が一押し。「しとやかな獣」は悪人しか出てこない喜劇だがキャラクター作りが実に上手い。演出もさることながら新藤兼人の脚本がいい。脚本と言えば橋本忍の「首」、「白い巨塔」、「黒い画集―あるサラリーマンの証言―」、「影の車」がおすすめ」
 私「黒沢さんの「用心棒」はどう?」
 土「いや「用心棒」よりその後の「椿三十郎」の方がずっといい。あと「天国と地獄」かな」
 私「そうか。じゃ怪獣映画なら?僕は「サンダ対ガイラ」だな。ラストがもひとつやけど」
 土「「サンダ対ガイラ」は恐怖映画としても傑作だ」
 私「僕が一番怖かったのは「マタンゴ」、夜寝られへんかった」
 土「わかる、わかる」
 …てな具合に極めてマニアックな会話が延々と続いたのでありました。
 しかし、よく考えれば私はプロの脚本家の前で不遜にも散々うんちく垂れたわけで、まさに釈迦に説法。まぁ、これも同級生どうしだからこそ、許してやってください。
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by takeshi_yamagen | 2012-11-01 17:37 | 銀 幕 日 記

 11.5.22
c0133503_1549040.jpg 原子力発電にくみせず、当然国からの補助金も受け取らず、エコロジカルな村をめざして、合併せずにがんばってきた福島県飯舘村。その村を突然襲った原発事故による放射能と「汚染はチェルノブイリ以上」とばかりに出された避難要請―、
 私は飯舘村に行ったことはないけれども、確かに言えることは、飯舘村の皆さんは誰一人として悪くないこと、そして目先の効率や経済性だけを見て進められてきた原子力推進の国策が村の人々の歴史、日常、そして積み重ねてきた地道な努力―その多くはお金で測れるものではありません―を瞬時に奪い去ってしまったということ。

 効率的、経済的とは一体何なのか…。
 そんなことをつらつら考えていた中、昨日見た映画が「アンダンテ ~稲の旋律~」です。
 映画の主人公藪崎千華(新妻聖子)は、母親の強い希望で幼い頃から音楽の道を歩むが、その競争の厳しさに次第に自信を失い、大学中退を余儀なくされ、やがて自宅にひきこもるようになる。
 そんな千華が、千葉県有機農業を営む広瀬晋平(筧利夫)と出会い、「効率的でないことがそんなに悪いことか…」と考える横芝光町の人々との交流を深める中で、ひきこもり生活を徐々に変化させていく。アンダンテ―、歩く速さで…。
 効率性、経済性最優先の社会を、今こそ真剣に考え直すべき時ではないでしょうか。


 ※「アンダンテ ~稲の旋律~」は6月4日(土)午後2時より豊中市立アクア文化ホールで上映されます。ぜひご覧ください。
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by takeshi_yamagen | 2011-05-22 11:45 | 銀 幕 日 記

 10.5.14
c0133503_7493524.jpg 昨夜、予定していた会議が中止になり、思いがけなく少し時間ができたので、同僚の藤原美知子議員と池田中央シネマ2で上映中の山田洋次監督の「おとうと」を見に行くことにしました。
 作品自体も秀作だったのですが、私がとても驚いたのは「31日をもって閉館します」の貼り紙。3Dなど新しい技術に設備が追いつかなくなっているのがその理由と伺いましたが、おそらく収益面でもご苦労されていたのではないでしょうか(ちなみに、その上映回のお客さんは私たち二人だけでした)。
 今回閉館する中央シネマ1・2、さらにはすでに閉館した同3など、池田駅前にあった映画館には幾度となく足を運びました。小さい頃の怪獣映画やマンガ映画はその作品名すら忘れてしまいましたが、議員になってからに限っても「母べぇ」「沈まぬ太陽」、そして今回の「おとうと」の3本を、古くは降旗監督の「駅 Station」をオールナイトで見ましたし、リバイバルの「七人の侍」を見て感動、一時期黒沢作品にはまるきっかけをつくってもくれたのも池田中央シネマでした。そうそう、中3の冬、受験勉強をさぼってこっそり「鳴呼!!花の応援団」を見にきたこともありましたねぇ。
 石橋、岡町の映画館はすでになく、そして今回の閉館―、これで阪急宝塚線の駅前から完全に銀幕が消えてしまいました(大阪市内を除く)。寂しいことです。
 池田市民なら一度は目を楽しませてもらった池田中央シネマ―、来し方を思い起こしながら、最後にもう一度足を運ばれるのはいかがでしょうか。
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by takeshi_yamagen | 2010-05-14 21:57 | 銀 幕 日 記

 09.11.22c0133503_9573298.jpg 
 昨日お知らせした映画「いのちの山河」を見てきました。 
 1955年、妻みき(とよた真帆)とともに故郷岩手県沢内村に帰った深澤晟雄(長谷川初範)は三悪(貧困、多病、豪雪)の中、乳幼児がばたばた死んでいく状況を目のあたりします。村長となった深澤はブルドーザーを導入して豪雪に立ち向かう一方、憲法25条に明記された人間の生きる権利(生存権)を保障すべく、65歳以上の老人医療無料化を1960年全国に先駆けて敢行、後に60歳以上と1歳未満の乳児に拡大していく、というのがそのストーリー。
「人命の格差は絶対に許せない」の信念のもと、医療費無料化を進める深澤村長、法の枝葉末節を盾にその実現を妨害する県庁の役人を前にして、憲法25条をかざしながら「国がやらないから村がやるのです。訴えられるのなら最高裁にも行きます!」と啖呵を切る場面はまさに圧巻。地方自治の原点を見た思いです。また、村長の亡骸を乗せた車が、数珠を持った年寄りや「あんたの命を救ってくれた村長さんだよ」とわが子に言い聞かせる母親など、多くの村民に取り囲まれながら雪道を行くラストは涙なくして見ることができませんでした。
 しかし、自殺者が3万人を超え、生活保護を打ち切られて餓死者が出る、そして老人を「姥捨て山」(後期高齢者医療制度)に囲い込むこの国では、この映画は決して昔話ではないのです。

 終了時に拍手の湧く映画に久々に出会った喜びに浸りながら、この文章を打っています。
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by takeshi_yamagen | 2009-11-22 14:28 | 銀 幕 日 記

 08.12.28 
 映画「蟹工船」(1953年)を見に行ってきました。
 函館を出航してカムチャッカへ向かう蟹工船。船内は背中一面刺青の男、関東大震災で工場がつぶれて借金から逃げてきた男、妻殺しで追われている男、東京でストライキ経験のある男、「もっど、勉強しだかったぁ」と嘆く年端もいかない東北出身の青年、等々でいっぱいです。
 暴風雨などお構いなしで母船から出漁させ、時間の無駄とばかりに他船のSOSを無視し、ロシア(ソ連)領海すら侵して操業を続ける…、まさに蟹の水揚げ量と缶詰の生産量を上げることが、なによりも優先されていきます。
 そして、出漁時に海に投げ出される者、過酷な労働に倒れる者、反抗した咎で虐待を受け殺される者などが続出し、ついに船内で自然発生的にストライキが広がる…。そこらあたりまでは、小林多喜二の原作にほぼ忠実なのですが、ラストは山村聡監督が結論を急ぎすぎて、リアリティと丁寧さに欠けてしまったように私には思えました(詳細を言うのは控えますが)。 
 観客(大半は青年でした)は決して多いとは言えなかったのですが、この半世紀以上前の白黒映画が一般の映画館でリバイバル上映されること自体が今年の情勢を反映しています。
「浅川(蟹工船内で労働者を「支配」した監督)みたいな奴、職場におるわ」そばにいた青年の話し声が印象的でした。
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by takeshi_yamagen | 2008-12-28 12:44 | 銀 幕 日 記