積ん読・乱読・熟読日記6 小林栄三 「科学的社会主義の教育論」

 09.5.6
 まだ20代の頃、ある先輩党員から薦められて読んだ本、というか論文。その名前から察して「学校でマルクスを教えようとでも書いてあるのかな」と思って読み始めた私は、資本主義における教育の特徴を、社会主義をも展望して理論的に解明したその深い内容に、自らのあまりに皮相な先入観をたちまち恥じることとなった。
 まず、小林氏は資本主義の発展に伴って生産手段の不断の進歩、多数の労働者と生産手段の結合労働が進み、生産が社会的なものになる中で、労働者に一定の基礎知識や総合的な視野が求められるようになるにも関わらず、労働者を機械の付属物として閉じ込めようとする個々の資本家は、教育を狭い範囲のものに限り、総合的な学習を敵視する、これが資本主義社会の教育の根本矛盾であることを解き明かす。
 さらに資本家は体制擁護を図って反動的思想教育、政治教育―「おまけ」の教育―を公教育に押し付けようとし(道徳教育、愛国心押し付け、教科書検定強化等々…)、並行して物言わぬ教師作りも抜かりなく進める(教師「聖職」論の鼓舞、職員会議不要論、勤務評定等々…)と指摘する。
 以上をふまえたうえで、小林氏は「日本人民が当面必要としているのは、健康で、豊かな情操をもち、自然と社会の基本的事実にかんする知識を身につけ、労働を重んじ、生産に必要な技術の基本を習得し、自主性があり、民族的誇りをもち、諸民族や個人の平等と連帯などの民主主義的意識をもつ青少年」であるとし、特に基礎学力の充実を重視する。ちょっと長いけど、ひとことで言うならば、物事を自分の頭で総合的に考える人格つくりということか。これは思想信条、政治的立場を超えて、圧倒的多数の親や教師の要求と合致する。
 当然のことながら、小・中学校での階級的な思想教育や政治教育―労働者階級の「おまけ」教育―をも、小林さんは厳しく戒める。これらは本来社会での実践を通じて学びとっていくものだからだ。
 大企業が次々と生産拠点の海外に移転し、国内労働者が派遣労働という名の産業予備軍化する中で、圧倒的多数の国民に十分な教育を施さず、体制に従順な労働者に仕立て上げる仕組み作りが以前にもまして強化されようとしている昨今、40年前に書かれた論文であるにも関わらず、少しも色あせていない、というのが私の読後感である。
 教育に携わる方にぜひ一読していただきたい論文である(初出は『前衛』1968年6・7月号所収「日本共産党の教育政策とマルクス・レーニン主義の教育論」、のち『日本共産党と教育問題』(1980 新日本文庫)に表題名で所収)。なお、著者の小林栄三氏は日本共産党の元常任幹部会委員。 
by takeshi_yamagen | 2009-05-06 13:11 | 積ん読・乱読・熟読日記

日本共産党 前大阪・池田市会議員  山元たけしの日々の活動を綴ります


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