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積ん読・乱読・熟読日記11  三井 誠著『人類進化の700万年』

 10.2.27
 人類史を書きかえる化石人骨の発見がたびたび新聞紙上を賑わす昨今、もはやかつてのような猿人―原人―旧人―新人という単一的な人類進化の図式は成り立たない…、その程度のことは、私もなんとなく知っていた。
 しかし、これら近年の成果を包括的に書いた本がなく、少々悶悶としていた私にとって、本書はまさに待望久しい書。180万年前にアフリカからアジアに進出した原人はやがて絶滅し、20万年前のアフリカに生きた一人の女性こそがアジアも含めた全世界の現生人類の共通の祖先であるとのくだりは息つく間もなく読んでしまった。
 ところが、そう読者を信じ込ませた上で、次に著者は大どんでん返しをもってくる。
 2004年にインドネシアのフローレンス島で見つかった身長1m余、脳の大きさ300cc(現生人類の三の一以下)と極端に小さい1万8千年前の人骨が、ジャワ原人と共通する特徴を有すると言うのだ。つまり、絶滅したはずのジャワ原人の子孫が、インドネシアの孤島で1万2千年前まで細々と生き残っていた!しかも、人類の進化に逆らうように小型化しながら…。
 まさに、事実は小説より奇なり、久しぶりに知的に興奮する本に出会いました(講談社現代新書 760円)。

by takeshi_yamagen | 2010-02-27 01:46 | 積ん読・乱読・熟読日記  

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