これは単なるガイドブックではない ―『古墳時代の猪名川流域』を読んで―

 10.10.22c0133503_15341086.jpg
 先日、『古墳時代の猪名川流域』(池田市立歴史民俗資料館編集・発行)が届けられ、早速拝読しました。
 本書は、まず猪名川流域の古墳を前期・中期・後期にわけて各期の古墳の特徴をその出土遺物を中心に実証的に解き明かし、それを大和や河内の古墳と重ねることで、畿内政権と猪名川流域の各古墳(群)との政治的な関係にも筆を進めています。たとえば同じ中期の古墳でありながら、多量の甲冑類を副葬する桜塚古墳群(豊中市)と全く認められない猪名野古墳群(伊丹市・尼崎市)の対比から、前者の古墳の被葬者が畿内政権から軍事的な役割を委ねられていたといった具合。
 また、どうしても専門的になりがちな用語などは、適度にコラムを配して、読者の理解を助ける配慮がなされているのもうれしい限り。それでも難解に感じられる方は、まず付掲「猪名川流域古墳ガイド」で身近な古墳の基礎知識を得てから、関連部分を読み進められればよいでしょう。
 欲を言えば、畿内政権を介さない地域間交流にも触れてほしかったというのが正直なところですが、本書が古墳を見学する際のガイドブックにとどまらず、猪名川流域の諸勢力の盛衰が生き生きと浮かびあがる「歴史書」ともなっていることは論を待ちません。
 余談ながら、本書の刊行は、昨年12月議会における私の一般質問での「古墳ロード」の提唱がきっかけであったとのこと(09/12/15付ブログ参照)。執筆者に名を連ねる大学の同級生の顔を思い浮かべながら、本書の刊行に力添えできたことの喜びに一人浸っています。

 なお、特別展「古墳時代の猪名川流域 ― 猪名川流域に投影された畿内政権の動静 ―」が開催されています。ぜひ足をお運びください。
 場  所;市立歴史民俗資料館(五月丘1―10―12 電話;072-751-3019)
 期   間;2010年10月16日(土)~12月5日(日)
 開館時間;午前10時~午後6時(入館無料)
 休 館 日;月曜日・火曜日、11/24(水)
[PR]

by takeshi_yamagen | 2010-10-22 23:42 | 歴 史 夜 話