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斎藤孝著『なぜ日本人は学ばなくなったのか』③ ―ものごとを歴史的に見るということ― 

 10.11.9
 教養主義とは少々仰々しい言葉ですが、平たく言えば、世界を歴史的に見て、過去の優れた知的財産からは謙虚に学ばねばならないことということ。斎藤氏の言いたいこともまさにこの1点に尽きるのではないでしょうか。
 たとえば地球温暖化問題。
 同じ資本主義国でもヨーロッパ諸国が人類の生存にかかわる問題として温室効果ガス削減にとりくむ中、未だに「後は野となれ山となれ」の状況を脱していないアメリカの傲慢さが今や誰の目にも明らかになっています(オバマ政権で変化の兆しが見られますが…)。
 これを教養主義をキーワードにして考えると、アメリカ資本主義が、ヨーロッパでは資本主義体制のもとでもそれなりに意識されている社会主義的な考え方を、反共主義のもとにばっさり切り捨ててしまっていることにあると見ることもできます。
 翻って旧ソ連・東欧諸国。
 その崩壊は、専ら封建社会から資本主義が起こる過程で編み出された人類の優れた知的財産を「西側文化」と一蹴してしまったことが、大きな原因だったのではないでしょうか。
 さらに、この教養主義は現在の日本政治を考える上でもキーワードになるのではないか、私はそう考え出しています。

by takeshi_yamagen | 2010-11-09 08:04 | 積ん読・乱読・熟読日記  

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