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「SUKIYAKI」を「鍬焼」としたのは誰か

 13.2.7
 よく似た対になる言葉がある場合、それを表す漢字がいつの間にか変わってしまうことがあります。たとえば甲冑の「甲」の字は「かぶと」と読むときは被り物、「よろい」と読む時は着具を表し、当然、対となっている「冑」の字の意味は逆になります。
 私は「NHKアーカイブス」が好きでよく昔の番組を見るのですが、今朝放送されていた「夢であいましょう」(1963年放送)で、黒柳徹子さんがゲストの坂本九さんの「上を向いて歩こう」の各国版のレコードジャケットを紹介していました。ご存じのようにこの曲はなぜか「SUKIYAKI」と訳されて、それが「SUKIYAKA」と表記されていたのは単なる誤記で御愛嬌でしょうが、私が興味深く見たのはアメリカ版に書かれていた「鍬焼」の文字です。
 実はこの「鍬」(くわ)と「鋤」(すき)はともに手に持つ農具なので「甲冑」と同じように逆転現象が生じ、「鍬」の字は現在土を手前に引き寄せる農具(くわ)を意味しますが、かつては現在のスコップに近い農具(すき)をさしていたようなのです。そういえば第1回目の遣唐使の名前も犬上御田鍬(いぬかみのみたすき)だったことを思い出しました。
 黒柳さんは「なんで「くわやき」になったんでしょうか」と不思議がっていましたが、やはり「すきやき」と読むべきだったのです。
 問題はこの「SUKIYAKI」を「鍬焼」とした人物がどのような人物だったかということ。
 まず一般の日本人なら「好焼」はあっても「鍬焼」や「鋤焼」の字をあてる人はまずないでしょう。
 おそらくは、日本語に対しては全く生半可な知識しかないアメリカ人―、さらに想像をたくましくするならば、戦前日本に留学し、古典も含めて日本語を勉強し始めたものの、あまりのむずかしさにさっさと帰国してしまった経験のあるアメリカ人ではないかと推測するのですがいかがでしょう。

 追伸(2/7夕刻);友人から「すきやき」はすき(鋤)の歯先に鶏肉などを置いて焼いた「鋤焼き」からくるとの説があるとの指摘を受けました。そうだとすると字こそ変化したものの、「鍬焼き」も間違いではないことになります。私の方が無知だったようです。あぁ、恥ずかし。

by takeshi_yamagen | 2013-02-07 16:40  

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