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歓喜の声で国民の怨嗟をかき消す輩を許すな ―東京五輪決定にあたって―

 13.9.9
 最初に断っておくが、僕は「イベント大好き人間」だ。
 親の大目玉覚悟で小3で大阪万博単独行を決行、愛知万博会場にも二度出没。古いところでは1983年の大阪城博覧会、マイナーなところでは和歌山リゾート博に足を運び、上海万博もお金と時間と妻の許しさえあえば飛んでったであろう。長野五輪も「マイナーな競技でもいい」と最後まで観戦の機会を窺い、USJのソフトオープンに足を運んだことも付け加えておこう。
 したがってオリンピックの開催地決定は僕にとっても大変喜ばしいこと。しかし、この「イベント大好き人間」の僕をしても今回の東京五輪決定は素直に喜べないのだ。
 その理由については安倍首相の現地でのスピーチと記者会見が端的に示してくれている。
 まず「(福島原発は)状況はコントロールされている」と首相は言ったが実際は打つ手がなく手詰まり状態であることは明らかではないか。
「汚染水の影響は福島第1原発の港湾内の0.3㎢の範囲内で完全にブロックされています」というが、外洋に直接つながる地上タンクからの排水路から高濃度の放射線が観測されているではないか。
 また、「汚染水の影響は湾内にブロックしている」については、いろいろな調査で福島沖の海底には40カ所の放射能のホットスポットが見つかっていること、港湾の20キロ先で捕れたアイナメからも2万5800ベクレルの放射性物質が検出されていることなどから、その欺瞞は明らかだ。
 首相はウソをついていると言わざるを得ない。
 とりわけ許せないのは「健康問題については、今までも現在についても、将来も全く問題ないということをお約束します。さらに完全に問題ないものにするために、抜本解決に向けたプログラムを私が責任をもって決定し、すでに着手しています。実行していくことをはっきり約束申し上げたい」との発言。
 では聞こう。
 なぜ全く問題がないのに抜本解決に向けたプログラムが必要なのか。世界には「問題ない」と言いながら、被災者には「解決していく」と二枚舌を使い続けるおつもりか。
 先日JOC会長が「復興五輪」と散々銘打ちながら最後になって「福島は東京から遠い」と被災地福島を切り捨てたことを批判したが、安倍首相の発言も大差ない。
 とはいえ「抜本解決に向けたプログラムを私が責任をもって決定し、すでに着手しています」と首相が発言した意味は大きい。安倍首相はこの「国際公約」を実行する責任がある。
 私は東京開催を喜ぶアスリートや市民の皆さんの声に水をさすつもりは全くない。というより「イベント大好き人間」としては7年後のアスリートたちのたたかいを今からとても楽しみにしている。
 その歓喜と興奮の声を利用して、東北、特に福島の悲しみと怒りの声、さらには誠実にそして真面目に生きようとするこの国に住む人間の苦しみの声をかき消そうとする輩とは徹底的にたたかわねばならない―、僕が言いたいのはただそれだけだ。
「半沢直樹」の影響か、ちょっと熱くなってしまったことご容赦あれ。

by takeshi_yamagen | 2013-09-10 11:01  

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