人気ブログランキング | 話題のタグを見る

いてくれなきゃ困る! ―醍醐寺五重塔を訪問して―

 13.10.13いてくれなきゃ困る! ―醍醐寺五重塔を訪問して―_c0133503_11143551.jpgいてくれなきゃ困る! ―醍醐寺五重塔を訪問して―_c0133503_11152569.jpg
 今日、一度行きたいと30年間思い続けながら、ちょっと郊外にあることもあってなかなか足を運べなかった醍醐寺(京都市伏見区)を初めて訪問。お目当てはズバリ五重塔(写真上)。
 実はこの塔、951年創建の京都市内最古の建造物なのです。付け加えるならば京都は平安の都と言うけれども市内に現存する平安時代の建造物はこの塔と東寺宝蔵しかないのです。
 長年の念願かなった感動の初対面!と言いたいところですが、第一印象ははっきり言って最悪。丹(に)が中途半端にはげ落ちている表面、屋根の張りを広くしようと欲張ったからか組み物がやたら目立つ四隅の軒先…(写真下)、お世辞にも美しいとは言えません。法隆寺の塔の天空を切り裂くシャープさも、薬師寺東塔の流れるような躍動感も、室生寺の塔のコンパクトさも、はたまた東寺の塔の圧倒的な存在感もありません。
 ぼろくそに言ってしまいましたが、源平の合戦、応仁の乱、幕末の争乱と千年の洛中の栄枯盛衰を眺め続けてきたのはこの塔以外にはないという事実は極めて重い。
 すこぶるべっぴんさんと言うわけでもなく、格別に要領がいいわけでもないけれど、みんなが知らないことをなんでも教えてくれる、いてくれなきゃ困る…、さしづめ会社創業以来何十年も働いてくれている事務員さんみたいな存在―、それが醍醐寺の五重塔なのです。

by takeshi_yamagen | 2013-10-13 23:02 | 山元のすべらない話  

<< 市民の期待を胸に、さぁ宣伝再開です 添い遂げた女の物語 ―能「井筒... >>