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平昌五輪雑感② ―新しい光景を見たのは誰か― 

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 18.2.28
 18日スピードスケート女子500m決勝で小平奈緒選手が優勝、イ・サンファ選手(韓国)の五輪3連覇を阻止しました。
 イ選手は悔し涙をこぼしながらリンクサイドあたりにへたりこむだろうだろう、小平選手はこぼれるような笑顔でリンクから手を降っているだろうと思っていた矢先、私の前にまったく予想していなかった光景が飛び込んできました

 氷上で泣き崩れんばかりに小平選手に寄りかかるイ選手、相手への気遣いからか自身の喜びを抑え無表情にすら見える顔立ちで抱きかかえる小平選手―、え、この二人って違う国の人だったよね、確か1分前までこわい顔して競い合ってたんだよね…、で、なんで泣き合ってるの?なんで抱き合ってるの?? 私の頭は少々混乱してしまいました。

 聞けば両選手は10年来友情を育んできた仲良しだとのこと。試合後の会見で小平選手は「競い合うことも大事なんですけど、国の文化や言葉を知ることで、さらにスポーツの楽しさが増すといいますか。他の国の選手はどんな思いを持っているのか、どんな文化を持っているのか知ることは、その競技を高めるために必要だと思っています」と述べました。専ら競い合うことだけに目的意識が集中する(と私は思っていた)オリンピック選手の口から相手の国の文化をリスペクトする言葉が飛び出すのを、私は生まれて初めて聞きました。さらに小平選手は「メダルのことは名誉です。これからどう生きるかが大事になってくる」と帰国後のインタビューでも述べています。小平選手にとってはスポーツと相手の文化へのリスペクト、そして自身の生き方が分かちがたく結びついているのです。

 競技前「小平選手は金メダルをとって新しい景色を見ることができるでしょうか」とコメントしたアナウンサーがいましたが、その小平選手のおかげで、新しい景色を見ることができたのはどうやら私たちだったようです。

 ありがとう!小平さん。


by takeshi_yamagen | 2018-02-28 21:54 | スポーツ話  

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