母と幼子は京都清涼寺で再会できました ―能「百万」を見て― 

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 40年ほど前、司会桂小金治、アシスタントを清水由貴子が務める「それは秘密です」というテレビ番組がありました。その最後が生き別れになった肉親との再会コーナ。「お涙頂戴だ」と揶揄する声もあったようですが、私は「愛憎いろいろあっただろうけど、時間が涙に変えてしまうんだなぁ」と結構感情移入しながら見ていました。
 そんなわけで能の演目でも私は再会物、それも幽霊が出てこない生きた人間の再会物が好きです。19日鑑賞した能「百万」はまさしくそんな母子の再会を題材にした作品です。
 吉野の男が奈良西大寺で拾った幼子を連れて京都清涼寺の大念仏に行きます。そこに百万と名乗る念仏上手の狂女が現れます。彼女は念仏を唱えながら夫を亡くし、忘れ形見の我が子とも生き別れになってしまった悲しみを語り舞ったのですが、実はこの吉野の男が拾った幼子こそ、捜し求めるわが子であることを知り、二人は最後に互いの再会を喜び合う…、といのがそのストーリー。
 SNSも捜索願も「それは秘密です」もなかった室町時代―、一旦さらわれたりして離れ離れになると再会は奇跡に近かっただけに、このような演目が人々の心を打ったんでしょうね。やっぱりちょっとうるうるしてしまいました(08/5/12付当ブログ参照)。









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by takeshi_yamagen | 2018-05-22 13:53 | 能・狂言鑑賞記