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元史建歴3 20世紀を伝える世代

 07.12.29
 1904(明治37)年、広島県の山間部、現在の世羅郡世羅町の貧しい小作の長女として生まれた父方の祖母は、折にふれ私に田舎の話をしてくれた。
「小作人の食事はヒエとアワばかりだった」
「自分たちの作った米がなぜ(地主に)持っていかれるのか、子ども心に不思議だった」
 話は変るが、私が小学校低学年を過ごした京都市郊外の自宅近くに、人が住んでいるような、古ぼけてはいるがやや大きめの木造の建物があった。なぜ、そんなあいまいなことを書くかというと、そこの人たちとは近所であるにも関わらずほとんど付き合いがなく、子ども心に、なんとなく不思議な場所だと感じていたから。そこが戦争で心身ともに傷ついた人が暮らす施設であることを知ったのはもう少し後のことである。戦争といえば、天王寺の陸橋上で見かけた傷痍軍人の話をする同級生のことも思い出す(私の記憶にはない)。
 話が飛んだついでにもう一つ。私が、長い間理解に苦しんだのは、幼い頃、家ですき焼きをしたときなどに玉子を2個食べようとすると、祖父母にえらくしかられたこと。それが玉子が高価だった高度経済成長が始まるまでの社会の「名残り」であることを知ったのはこれまたしばらく後のことである。
 なぜそんなとりとめのない話ばかりするかというと、1960年代前半生まれの私たちが、明治・大正期、15年戦争(アジア・太平洋戦争)、そして高度経済成長期以前の1950年代、この三つの時代の話を肉親から直接聞き、その雰囲気を間接的ではあるが感じることのできた最後の世代であること、それを言いたかったから。
 言いかえると、私たちの世代が20世紀の日本の光と影をともに伝えていくことのできる最後の世代であるということでもある。その使命感を絶えず意識しながら来たる2008年も生きていきたい。

by takeshi_yamagen | 2007-12-30 13:38 | 元 史 建 歴  

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