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元史建歴6 黄金バット、月光仮面そしてウルトラマン

 08.1.31
 特撮話を続けよう。
 少し前、ジャーナリストの鳥越俊太郎さん(1940年生まれ)が、ある番組で「僕らが幼い頃、黄金バットや月光仮面がヒーローだったけど、ウルトラマンみたいに今でも人気があるわけではない。その差はどこにあるのだろう」と話されていた。
 両者の差は大きく言って二つ、科学性と社会性にあると思う。
 まず、科学性。ウルトラマンに変身するハヤタが「科学」特捜隊の一員であったことからもわかるように、ウルトラシリーズの作品には最低限の科学性が備わっていた。宇宙空間や地中、深海といった場所の特撮映像―今見ると”ちゃち”に思えるところももちろん多いが―は、子どもたちを未知の世界へいざない、その科学的な好奇心を育むに十分であった。
 次に社会性。ウルトラシリーズの作品には、人間が怪獣を殺傷することへの疑問を呈したり、宇宙開発競争の犠牲となった怪獣が登場したり、あるいは人類以前に地球に存在した「地球人」の存在を示唆したものなどがあり、当時のベトナム戦争や東西冷戦への批判が込められていたことは明らかである。
 突き詰めていけば科学的に無理があるところはいくらでもあるのだが、少なくともウルトラQ、ウルトラマンそしてウルトラセブンと続くウルトラシリーズでは、その制作者が子どもを子どもだましの対象として見ていなかったことだけは確かである。それはメッセージ性を追究する余り、怪獣が最後まで登場せず、子どもたちを残念がらせた?作品すらあることからも窺えよう。そこが科学性に劣り、勧善懲悪の域をでなかった黄金バットや月光仮面との決定的な差でなかったかと考える。もちろん、紙芝居とテレビといった媒体の差も大きいとは思うが…。
 そして、今でも、いや今だからこそ、子どもには決して見抜けない、作品に込められた深い意味を発見することがよくあるのである。
 書き出すと果てしなく「オタク」の深みにはまっていきそうなので、今回はこのへんで。

by takeshi_yamagen | 2008-01-31 15:31 | 元 史 建 歴  

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