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岩国・広島紀行③ 岩国はシロヘビの街、そして米軍基地の街

 08.8.12
 岩国はアオダイショウの突然変異である白い蛇が数多く生息していることでも有名です。爬虫類にあまり抵抗がない、というよりワニ以外はひと通り飼育したことのある私は、さっそく錦帯橋近くの飼育施設を訪れました。わずかにクリーム色がかった白色の肌に赤い眼が特徴的なシロヘビがガラスのゲージの中の樹上で重なり合っていました。なんとそのシロヘビ君たち、それぞれ名前がつけられていて、ご丁寧に館内にその系図も張られているではないですか。古来より神様のお使いとしてシロヘビを大切に扱かってきた岩国の人々の思いを実感しました。
 その後、1929(昭和4)年に建てられた西岩国駅のレトロな駅舎を見学した後、再び岩国駅前に戻り、市最大の繁華街中通りをぶらぶらして、そのはずれの、とある居酒屋に潜り込みました。
 カウンター席10席余の小さな店。女将のA子さんは、私が「山口県初体験」を告げるととても喜んでくれて、「ハモなら光市の室積港、でも料理屋さんが多いのは隣の下松かな」「あまり有名じゃないけど一ノ俣温泉は泉質がいいよ」と地元でしかなかなか聞けない話をたくさんしてくださいました(次の旅の参考になります)。
 さらに酔いにまかせて、そして他にお客さんがいなかったことも手伝って、話は岩国基地のことに及びました。実は岩国では今年2月の市長選挙で、基地反対派の前市長が存続派の市長に僅差で敗れたばかりです。
「基地はいや」といいながら、A子さんは複雑な表情です。
「時給が100円近くいいんで、若い子はみんな広島へ行ってしまうけぇ、岩国は景気よくないんじゃ。こんな小さな居酒屋はほんとやっていけんのよ」(駅前の居酒屋チェーン店の乱立も合点がいきました)と岩国の現状をひとしきり話してくれた後、「米軍基地から落ちるお金、(基地存続に伴い)国からくるお金は岩国の町にとって魅力的なの」と少々あきらめ顔です。
「しぶしぶ基地容認派」といった感じのAさん、それでも「市内にある豪華な米軍住宅はやめて、全部基地の近所に持ってくるべき」「これ以上の米軍の増は反対」と米軍には手厳しい。そして、「これだけ国からほっぺたを札束でたたかれても、井原さん(基地反対の前市長)があれだけ票を取ったのは驚いた。基地反対の市民の声を改めて思い知ったねぇ」とも。
 基地の街の苦悩と良心の一端を伺い知ることができました。
 ついつい話が弾んで、その日の宿、宮島口ユースホステルにたどり着いた時、時計はすでに10時をさしていました。

by takeshi_yamagen | 2008-08-12 09:36 | 日本たびたびまた旅日記  

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