突き抜けてとことん行きつきました ―「燃えよ剣」と「不夜城」―

 18.8.27
 先日来新撰組の近藤勇、土方歳三、沖田総司を主人公にした司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」(新潮文庫)を読んでいます。私としては、彼らに特別な思い入れあったわけではなく、実のところ好きでもありませんでした。それどころか幕末の京都で政敵を切りまくった今でいうところのテロリスト集団に対して、むしろ強い嫌悪感をもっていました。
 それでも彼らを主人公にした小説を読んだ理由を列記すると、昨年京都市長選挙の応援に行った際事務所のごく近くにたまたま彼らの壬生屯所があったこと、「新撰組について最低限のことは知っておかなあかんかな」と言った文学部史学科日本史専攻出身者としての漠然とした義務感(?)、さらにはその文庫本(上・下)が身近にあったこと等々。まぁその程度です。 
 契機はともかく、読んでまず感じたのは鎌倉期以来といってよい封建的な主従関係を愚直なまでに戴いて彼らが生き抜いたことへの新鮮な驚きです。そして15代将軍慶喜の新政府への恭順というそのイデオロギー的基盤の崩壊後も、そのエネルギーはあくまで新政府打倒に向かったわけですが、今から見るとその生き方にはやはり哀れさを禁じえません。
 さて、そこで思い出したのが、昨年FBである方が「読み出したら止まらない1冊」にあげられていた馳星周さんの「不夜城」(角川文庫)です。
 北京系、上海系、福建系、台湾系、香港系が互いに抗争する新宿歌舞伎町の中国系裏社会―、騙し騙され、誰が信用でき、できないのかを探りながら毎日を生き抜くことだけを考えて動く人々、彼らは普通の人間性を一度ならず渇望しながら結局果たせずにある者は生き抜き、ある者は死んでいく―、まぁざっというとそんな話です。私の場合「読み出したら止まらない」ことはなかったのですが、キャラの立ち過ぎる登場人物が、そんなに広くない歌舞伎町を所狭しと動き回るスピーディーな展開を結構楽しみながら最後まで読んでしまいました。
 イデオロギー的な背景の有無の差はあるものの、新撰組のメンバーも不夜城に登場する中国系マフィアのメンバーも行きつくところまでしゃにむに突き進んだ点では一緒。どちらの本も「こんな人生送った人、少ないけどまわりにもいたなぁ」と、何人かの顔を思い出しながらページをめくり続けた次第です。
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by takeshi_yamagen | 2018-08-27 18:33 | 積ん読・乱読・熟読日記